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プロローグ
火の鳥・輪廻シアター
エントランス展示として、『火の鳥』の世界観を表現するシアタールームを作り上げます。時空を超えて変容するいのちの象徴として描かれている火の鳥を、生命は絶えず破壊と創造を繰り返しながら、エントロピー増大の法則(乱雑さ)に抗い続けている“流れ”であるとする生命観「動的平衡」に重ね合わせて、映像作品にしました。東京の絶景が広がる展望台で、生命が多様に輝く美しい世界を体感してください。
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<「動的平衡」コンセプトムービー(イメージ)>
©FUKUOKA SHINICHI OFFICE
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<火の鳥 動的平衡アニメーション(イメージ)>
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第1章
生命の
センス・オブ・ワンダー
『火の鳥』の誕生は1954年(昭和29年)、学童社「漫画少年」での黎明編の連載が始まりでした。その後「少女クラブ」、虫プロ商事「COM」等、掲載誌を変えて、連載が続けられました。作品の時間軸は、紀元前から西暦 3000 年を超える未来まで、そして物語の舞台は、邪馬台国からはては宇宙のかなたまで、時空を超えた壮大な叙事詩が連作されます。第1章では、この複雑な物語構造を明らかにし、作品舞台の時代背景とともに年表形式でたどります。また、この偉大な物語を手塚治虫はどのように発想し、構想を深めていったのか。創作の原点にも迫り、作品に溢れる自然に対するセンス・オブ・ワンダー(畏敬の念)に触れます。
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<「COM」創刊号 表紙>
©Tezuka Productions
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<マンガ少年『火の鳥』望郷編>
©Tezuka Productions
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第2章
読む!永遠の生命の物語
第2章では、主要12編(「黎明編」から「太陽編」まで)の貴重な原稿を多数展示します。火の鳥は、その生き血を飲めば不老不死になれると信じ、生に執着する人間を翻弄しながらも、物語を動かし、人類の来し方行く末を常に見守る存在として描かれます。“火の鳥”は、いったい何を象徴しているのか。「生命とは何か」という問いに、手塚治虫はどのような答えを示そうとしたのか。
福岡氏が読み解き、混迷を極める現代に向けて、私たちの“生”のありようを哲学します。
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<COM『火の鳥』ヤマト編>
©Tezuka Productions
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<COM『火の鳥』鳳凰編>
©Tezuka Productions
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<COM『火の鳥』未来編>
©Tezuka Productions
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<マンガ少年『火の鳥』鳳凰編>
©Tezuka Productions
第2章「読む!永遠の生命の物語」
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第3章
未完を読み解く
「死とはいったいなんだろう?そして生命とは?この単純でしかも重大な問題は、人類が有史以来取り組んで、いまだに解決していないのだ。」――これは、手塚治虫が『火の鳥』黎明編の連載の最初に、読者にあてた文章の一部です。手塚治虫は、作家人生43年のうち、35年もの間『火の鳥』を描き続けましたが、物語の結末について問われたとき、死ぬときに描いてみせると言明し、作品は未完のまま終わりました。手塚治虫はいったいどのようにして物語を完結する予定だったのか。永遠の生命をもつことは幸せなのか?――生命は、有限であるがゆえに輝く――『火の鳥』最大の謎に、福岡氏が1つの答えを導き出します。
<COM『火の鳥 休憩-INTERMISSION-』>
©Tezuka Productions
横尾忠則氏の作品「火の鳥」を特別展示
手塚治虫が描くことを約束しながら、果たせなかった『火の鳥』の結末について、福岡氏が1つの答えを導き出します。また、現代美術家・横尾忠則氏と福岡氏が『火の鳥』について語り合う対談映像もご覧いただけます。横尾氏が描いた作品「火の鳥」も展示します。
撮影 / 田島一成
- 横尾忠則氏プロフィール
- 現代美術家。1936年兵庫県生まれ。1972年にニューヨーク近代美術館で個展。その後もパリ・ベネチア・サンパウロの世界3大ビエンナーレに招待出品。アムステルダムのステデリック美術館、パリのカルティエ財団現代美術館、東京都現代美術館、東京国立博物館など世界各国の美術館で多数の個展を開催。2012年神戸に横尾忠則現代美術館が開館。2013年香川県豊島に豊島横尾館が開館。2000年ニューヨークアートディレクターズクラブ殿堂入り。2015年高松宮殿下記念世界文化賞受賞。2023年文化功労者、日本芸術院会員。著書に小説『ぶるうらんど』(泉鏡花文学賞)、『言葉を離れる』(講談社エッセイ賞)、小説『原郷の森』など多数。2025年4月26日から 6月22日まで、世田谷美術館で全新作の油彩画の個展を開催する。
※展示内容やイメージは、変更となる場合があります。
会場限定販売の公式ブック!
「火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴 生命論で読み解く、手塚治虫『火の鳥』」
「生命とは何か」という問いに、手塚治虫はどのような答えを示そうとしたのか?−有限であるからこそ、いのちは輝く−「生きているとは、動的平衡(絶えず破壊と創造を繰り返している状態)である」と提唱する福岡伸一が、独自の切り口で『火の鳥』を紐解き、手塚治虫が死の直前に描きたかった“最後の1コマ”に迫ります。歴史、科学、医学、芸術、倫理……壮大で深淵な『火の鳥』のエッセンスを凝縮し、その根底に流れる哲学を読み解いた珠玉の生命論。展覧会では紹介しきれなかった内容も収録し、豊富な画と詳細な解説で、理解が深まる一冊です。横尾忠則氏と福岡伸一氏の特別対談も収録。
定価:1,500円(税別)
仕様:A5判/112ページ/並製
著者:福岡伸一
発行:朝日出版社
発売日:2025年3月7日(金)
※公式ブックには、全ての展示品(原画含む)は掲載しておりません。
福岡伸一氏の論考に基づくものを収録しています。
※収録内容および仕様等は変更になる可能性がございます。
※表紙画像はイメージです。